新型コロナに保険で備えよう

新型コロナに保険で備えよう

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の拡大は私たちの生活に大きな影響を与えました。感染した方はもちろん、感染していない方も長い自粛生活で心身だけでなく、経済的にもダメージを受けているのではないでしょうか。ワクチン接種が進み新規感染者数は大きく減少していますが、ワクチン先進国の傾向を見てもこのまま安心というわけにはいかないかもしれません。これから冬場に向かうことで、再び感染が拡大することが懸念されています。次の感染拡大に備えて何かできることはないのでしょうか。


新型コロナに関する医療費は原則無料

新型コロナに感染し重症化し生死の境目をさまよった方々がテレビに登場し体験談を語ってくれています。人によっては数カ月にわたって入院しているようです。これだけ長期に入院すると医療費も相当高額になるイメージがあります。

通常であれば病院にかかると健康保険証を提示し、かかった医療費の1~3割が自己負担となります。一定以上の高額な自己負担となる場合には、高額療養費制度によって負担が軽減される仕組みです。

ところが、現状では新型コロナは感染症法上の「指定感染症」となっており医療費は原則として全額公費負担となります。自治体が委託契約を結んだ医療機関で新型コロナのPCR検査や抗原検査を受けた場合、検査の結果にかかわらず公費負担となります。つまり無料です。検査で陽性となり医師の指示で病院へ入院したり、ホテル療養、自宅療養をする場合も原則として公費負担で医療を受けることができます。このように、新型コロナに関する医療は多くの場合、無料で受けることができるのです(ただし、患者および生計を同一にする世帯員全ての市町村民税の所得割額を合算した額が56.4万円を超える場合、月額2万円を上限に自己負担)。

一方で、最近は発熱などの症状はまったくないものの、旅行や仕事などで必要となったようなケースで自発的に検査を受ける人も多くいます。この場合は、検査費用は全額自己負担となります。また、新型コロナ以外の治療にかかる費用は自己負担が発生します。また、ホテル療養の宿泊費や、入院中、ホテル療養中の食事は無料ですが、入通院にかかる交通費やその他雑費は自己負担となります。

新型コロナの家計への影響

新型コロナの治療は基本無料なら、家計への影響はあまり考える必要はなさそうです。ところが、そうではありません。

治療費は無料でも、治療期間中は仕事ができず収入が減少するリスクがあります。新型コロナの隔離期間は基本2週間です。症状の重さにもよりますが、治療期間はもっと長期になることも少なくありません。会社員であれば、有給休暇などを上手に使えば大きな収入減は避けられるかもしれませんが、残業代などはつかなくなります。自営業の方であれば、仕事ができなければダイレクトに収入が減ることになります。かなりのダメージとなるでしょう。

それだけではありません。家族の中から感染者が出ると、同居している家族は濃厚接触者となる可能性が高いでしょう。さらに自宅療養することになれば、家族が看病をすることになりますが、その家族も感染するリスクが高くなるでしょう。家族も当分の間は健康観察をしながら原則不要不急の外出は控えるよう求められるでしょう。家族も一定期間働けなくなれば、それだけ収入は大きく減ることになります。

感染力の強い感染症であることから、本人のみでなく家族まで行動が制限される。たとえ無症状であっても、感染者が出ると行動は制限されると考えるべきです。新型コロナによる家計負担の問題は実は収入減少にあるのです。

もう一つの問題は後遺症

新型コロナ特有の問題はもう一つあります。検査をして陰性になれば全快とはならないことが多いことです。国立国際医療研究センターでの疫学調査によると、発症後2カ月で48%、4カ月たっても27%もの患者で何らかの後遺症が認められたというのです。

陰性となり治療や療養が終わるまでは治療費は公費負担ですからあまり心配はいりません。ところが、その後も長期にわたり後遺症が残る可能性もあり、その治療費に関しては通常の病気治療と同様に自己負担が発生します。

<COVID-19発症からの日数と急性期症状を有する患者の割合>

新型コロナに保険は役に立つのか

では、こうした新型コロナに対して一般の生命保険は役に立つのでしょうか。

結論から言うと、ちゃんと役に立ちます。たとえば、最終的に亡くなられた場合、定期保険などの死亡保険に加入していれば死亡保険金が支払われます。原因が新型コロナであっても、死亡するという客観的事実は変わりません。

判断が難しいのが医療保険です。一般的な医療保険は病気による入院や手術に対する保障が含まれます。新型コロナも病気なので、入院をすれば当然ながら入院給付金が支払われます。では、ホテル療養や自宅療養の場合は保障されるのでしょうか。

ホテルや自宅での療養でも医療保険で保障されます。ただし、その場合、保健所が発行する「宿泊・自宅療養証明書」や「就業制限通知書および就業制限解除通知書」など、療養の期間が確認できる書類を合わせて提出し給付金を請求しましょう。また、病床がひっ迫したことで、本来の退院予定よりも早く退院することになった場合は、医師や医療機関から「本来入院が必要であった期間」に関する証明書や診断書を発行してもらい提出しましょう。本来必要だった入院期間の入院給付金を受け取ることができるはずです。

新型コロナ特有のリスクに対応するコロナ特化型保険

ところが、新型コロナには特有のリスクがありました。一般の保険では、感染者が出ることで、家族の行動が制限され収入が減ってしまうことに対しては保障してくれません。また、後遺症により通院をしたとしても、退院後の通院保障がついた保険はあまり多くありません。ほとんどの場合で保障されないでしょう。

こうした新型コロナ特有のリスクに対応する保険はないのでしょうか。実は新型コロナに特化したことを謳った「コロナ保険」が複数の会社から登場しています。新しい分野の保険でもあり、各社同じような保険とはなっていません。では、これらの保険はどのような内容なのでしょうか。

1)入院保険型
最近、入院一時金が支払われる医療保険が増えていますが、この入院一時金を転用した保険です。そのため、新型コロナだけでなく、他の入院や手術でも一時金が支払われます。また、1日もしくは1泊でも入院すれば10万円といったまとまった一時金が支払われるのが特徴です。当然、病院への入院だけでなく自宅療養やホテル療養も対象となります。
2)感染診断型
医師によって新型コロナや特定感染症と診断された場合に、一時金が支払われる保険です。このタイプの保険は入院することなく、診断だけで対象となります。つまり、新型コロナの検査で陽性判定が出れば、無症状であっても一時金が払われます。

このようにそれぞれのタイプは要件を満たせば一時金が支払われる保険ですが、入院の必要があるかどうかで大きく2種類に分けることができます。それぞれ数万円から20万円の一時金ではありますが、目の前の生活を助けてくれるでしょう。

無症状であっても一定期間行動が制限されることで収入が減少することが新型コロナの怖いところでした。それを考えると、入院を必要としない感染診断型のコロナ保険の方が、より多くのケースで役に立ちそうです。

新型コロナとの戦いは続く

新型コロナに感染したとしても、まとまった貯蓄が手元にあればしばらく生活を維持することは可能でしょう。ところがまとまった貯蓄があるとは言えない状況であれば、目の前のリスクに対しお金を払ってでも保険をかけておくことも考えたいところです。コロナ保険はそういう方にこそお勧めしたい保険ですから、保険料水準にもこだわりたいところです。

ワクチン接種も進むなどさまざまな理由から新型コロナも落ち着いてきた感はあります。ただ、これまでも感染拡大→収束→感染再拡大と繰り返してきました。現在も世界中で変異ウイルスが出現しています。それがおとなしいものであればいいですが、残念ながらどんどんバージョンアップされているように感じます。今後もどんな変異ウイルスが登場するか分かりません。まだ新型コロナとの戦いはまだ続くものと考え準備しておきましょう。

情報提供: 家計の見直し相談センター(外部サイト)

ライタープロフィール

藤川太

ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来30000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。 著書に『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』(プレジデント社)、『やっぱりサラリーマンは2度破産する』(朝日新書)などがある。

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