
このコラムは一般的な情報をご提供するものであり、当サイトの保険のご加入をお勧めするものではありません。
生活習慣の改善と保険で熱中症対策をしよう
とても頭が痛くなり寝込んでしまいました。とても天気の良い日にテニスを3時間楽しんだことが原因の熱中症でした。プレー中に帽子をかぶらず、水分もあまり取っていませんでした。初夏からこの暑さですから、今年もとても暑い夏になりそうです。油断せずに熱中症対策をしっかり取って、暑い夏を乗り切りましょう。
生活習慣病にかかっている人は熱中症リスクが高い
住友生命が発行した「熱中症白書」には、健康状態や生活習慣と熱中症との興味深い関係が分析されています。この白書に掲載されたデータは、1000万人を超える医療ビッグデータ・解析力・臨床目線を組み合わせ分析された貴重なものです。
白書では熱中症リスクを、熱中症と診断される「診断リスク」、点滴による治療を受ける「点滴リスク」、熱中症の治療で入院する「入院リスク」に分けて分析しています。まず全体的な統計として、熱中症と診断される人は0.168%と600人に1人程度。点滴治療まで受ける人は0.079%と1300人に1人程度、重症化して入院する人は0.005%と2万人に1人程度という確率が示されています。熱中症と診断→点滴を受ける→入院する、という順番で重症度が高くなりますが、熱中症と診断された人のうち、点滴を受ける程度の症状になる人は2人に1人程度、入院するほど重症化する人は100人に3人程度いることになります。
<図表>重症度別の熱中症発生率
出典:熱中症白書April 2025(住友生命保険相互会社 発行)
この白書でもっとも注目されるのが生活習慣病と熱中症との関係です。降圧薬や糖尿病治療薬、脂質異常症治療薬を使用している人は診断リスク、点滴リスク、入院リスクがすべて大きくなることが示されました。たとえば、降圧薬を使用している人は、そうでない人に比べ診断リスクは1.62倍、点滴リスクは1.74倍、入院リスクは3.56倍と大幅にリスクが大きくなるというのです。これらの治療薬を使用している人は、熱中症になりやすく、しかも重症化しやすいということなので注意すべきでしょう。
こうしたデータを見ると治療薬が悪いように見えますが、そうではありません。熱中症は体内にこもった熱を放出しきれず引き起こされる病気です。高血圧や糖尿病は発汗機能が低下しやすく、脂質異常症は血液循環が悪くなることで放熱効率が低下するため、こうした生活習慣病を持つ人は熱中症のリスクが高くなるのです。
熱中症のメカニズムから考えると、体内の熱を放熱しにくい肥満の人も熱中症リスクは高くなります。ただ、肥満よりも生活習慣病の方がはるかに大きな熱中症リスクを抱えているようです。生活習慣病予防をすることが熱中症予防には有効です。健康診断を定期的に受け、その結果に基づいて生活習慣を見直すことは生活習慣病予防になるだけでなく熱中症予防にも効果がありそうです。
<図表>健康・生活習慣と熱中症リスクの関係
出典:熱中症白書April 2025(住友生命保険相互会社 発行)
歩行習慣が熱中症の入院リスクを下げる
「熱中症白書」では生活習慣病が熱中症に及ぼす影響だけでなく、生活習慣と熱中症の関係についても言及しています。一般的に好ましくないと言われる「就寝前の2時間以内に夕食を摂る」「喫煙習慣がある」「睡眠不足である」といった生活習慣は熱中症を高める傾向が見られます。特に睡眠不足状態の場合、そうでない人に比べ診断リスクが1.40倍、点滴リスクが1.38倍となっており、熱中症リスクが高くなることが分かります。
一方で熱中症を下げる好ましい生活習慣として、歩行習慣が取り上げられています。歩行習慣のある人はない人に比べ入院リスクが0.88倍に下がることが示されています。ここで示されている歩行習慣とは「日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施」という条件です。
健康のために万歩計を身につけて1日1万歩以上を目標に歩いている人も多くいます。1万歩はおおむね6~7kmの距離、時間にすると1時間10分~1時間45分ほどに相当します。ということは「1時間以上の歩行」とは距離にして4~5km以上、歩数では5000~8000歩以上に相当します。この程度であれば、多くの人が参考にして実践できそうな習慣ですね。
まずは熱中症にならないことが大切
熱中症対策の基本は、当然ながら熱中症にならないことです。そのためには、適切に水分や塩分を補給することが大切です。特に高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を持っている人は熱中症リスクが高いため、医師にも相談し適切な量の水分や塩分を摂取するよう心がけましょう。
これから徐々に暑い日が多くなりますが、少しずつでも暑さに慣れていきたいところです。運動をするにしても一気に強度を上げるのではなく、暑さに身体を慣らしながら少しずつ強度を上げていくことが大切です。また、夕食は就寝の2時間以上前にとる、十分に睡眠や休養を取る、喫煙は避ける、1日1時間以上歩く、といったよい生活習慣を身につけることも大切です。
熱中症のリスクに備える保険も登場している
ただ、どれだけ気を付けていてもなる時はなるのが熱中症です。熱中症を治療するには経済的な負担が生じますが、どのようにカバーするのか検討しておくことも大切です。
まず、熱中症になり病院で治療を受けた場合、公的な健康保険が使え、年齢などにより治療費の1~3割負担になります。また、終身保険や定期保険、収入保障保険といった生命保険に加入していれば、熱中症で死亡・高度障害状態になった場合にも保障されます。さらに一般的な医療保険に加入していれば、熱中症による入院や入院後の通院はカバーされますが、通院のみの場合はカバーされないことが一般的です。
損害保険会社で傷害保険などに加入している場合、一般的には熱中症による入院や死亡は補償対象外です。ただ、その保険に「熱中症特約」が付加されていれば補償の対象になります。あきらめずに調べてみましょう。
近年、「熱中症保険」とそのままズバリの名前がついた保険がインターネットを中心に販売されています。治療のために入院した時はもちろん、点滴などの治療だけでも保険金が出ることが大きな特徴です。また、保険期間を1日間から期間を定めて加入することができることも特徴です。当然ながら保険期間が短いほど保険料は安くなります。インターネットから手軽に加入でき、運動をすることになっている日などリスクが高そうな日だけ加入する、といったこともできる仕組みです。ご自分の行動スタイルに合わせて熱中症保険を上手に活用してみましょう。