
このコラムは一般的な情報をご提供するものであり、当サイトの保険のご加入をお勧めするものではありません。
コロナ流行に備える!高額治療費と保険の新しい選択肢
毎年のように秋から冬にかけてインフルエンザの流行期がやってきます。秋に入ると流行期に備えてインフルエンザの予防接種をする人が増えます。多くの方がインフルエンザへの警戒はしますが、忘れがちなのが新型コロナウイルス感染症の流行です。すっかり過去の病気という雰囲気ですが、現在も周囲の人に感染者が出ているのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症の現状を知り対処法を考えましょう。
コロナウイルス感染症は年2回の流行を繰り返している
厚生労働省が発表した「新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2025年第34週(8月18日~24日)」によると、医療機関から報告された新型コロナウイルス感染症の発生件数は定点あたり8.73件と前週の6.30件から大幅に増加し感染流行の傾向が見えてきました。インフルエンザは冬に感染が拡大しますが、新型コロナウイルス感染症は夏季と冬季の年に2度も流行する傾向が続いています。原因としては、お盆や年末年始に人の移動が増えること、冷房や暖房をかけ部屋の換気が不十分になる季節だからと言われています。
今年流行の新型コロナウイルスは強いのどの痛みが特徴の「ニンバス」
新型コロナウイルス感染症が感染症法上の第5類に分類されたのが2023年5月8日。これによりコロナ禍は終わったとされ、その後徐々に私たちの日常生活が戻ってきたのは記憶に新しいところです。この頃に流行っていたのがオミクロン株と言われる変異株でした。
その後もコロナウイルスは変異を続け流行と収束を繰り返しています。最近流行しているのはオミクロン株から派生した「ニンバス」と呼ばれる変異株です。ニンバスの特徴として挙げられているのが強いのどの痛みを伴う症状です。高齢者や基礎疾患を持っている人は重症化しやすいとも言われており注意が必要です。
軽症時に抗ウイルス薬を服用し重症化予防を
インフルエンザに感染した時に「タミフル」や「リレンザ」といった抗ウイルス薬を処方され服用した経験がある方が多いはずです。私も10年前近く前にインフルエンザに感染した際にタミフルを処方してもらい、あっという間に熱が下がり身体が楽になった経験があります。こうした抗ウイルス薬の多くは、軽症時に使用することで大きな効果を発揮すると言われます。
ただ、この「軽症」という言葉は、患者と医師ではかなり違う意味で使われています。咳が出て、体温が38度を超えるほど高熱が出ると普通はフラフラになり、とてもつらい思いをします。私たちの感覚では、これはかなりの重症です。ところが、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き(第10版)」によると、肺炎が進んでいたり、呼吸困難の所見が見られない限り「軽症」の扱いです。新型コロナウイルス感染症は最悪の場合、死に至る病気なので、分類するとそうなのかもしれません。この体はとてもつらいけれど軽症と言われる時にこそ有効なのが抗ウイルス薬なのです。
<図表>重症度別マネジメントのまとめ
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き(第10版)」 より
以前であれば少なかった抗ウイルス薬の種類も増え、新型コロナウイルス感染症でも高齢者や基礎疾患を持つ重症化リスクの高い患者を中心に処方されています。重症化を防ぎ、症状改善の効果がある薬が出てきていますが、効果を得るにはインフルエンザと同じで感染して5日以内といった早期に服用することがカギとなります。
抗ウイルス薬を使うとお金が結構かかる
では、病院で抗ウイルス薬を処方しましょう、と言われた場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか。2023年に第5類に分類されるまでは全額国費で治療を受けることができていましたが、現在は通常の病気やケガの治療と同様に一部自己負担が発生します。
2024年3月13日に開催された厚生労働省・中央社会保険医療協議会での会議資料「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応(令和6年3月13日)」で薬価についての議論が行われています。資料に記載されている薬価から自己負担額を計算すると、新型コロナウイルス感染症で使われる抗ウイルス薬を使用すると図表のような自己負担額になります。自己負担額が最も安いゾコーバでも15,556円。最も高いベクルリーになると55,798円と新型コロナウイルスの抗ウイルス薬は非常に高額です。
<図表>新型コロナウィルス感染症に使われる抗ウイルス薬と自己負担額
※ 厚生労働省「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応(令和6年3月13日)」より
※ 抗ウイルス薬の費用に加えて、診察料や検査料などの費用が別途かかります
タミフルやリレンザといったインフルエンザの抗ウイルス薬であれば3割負担で自己負担額が700~800円程度ですから、気軽に処方してもらうことができます。ところが、新型コロナウイルス感染症の抗ウイルス薬は数万円かかるとなるとどう感じるでしょうか。重症化を防ぎたい、早く楽になりたい、と思うのはインフルエンザと同じですが、金銭的負担を考えると「薬を処方してもらわない」選択肢も頭に浮かびそうです。
新型コロナウイルス感染症に備えて保険加入も検討しよう
新型コロナウイルス感染症にかからなければ一番いいのですが、いくら気を付けていても感染してしまう可能性をゼロにすることはできません。感染してしまった場合、お金がないから治療できない、ということがないようにしっかりと準備しておきたいところです。
まずは貯蓄をある程度準備しておくことです。貯蓄に余裕があれば、数万円程度の自己負担も怖くありません。ですが、余裕のある人ばかりではありません。貯蓄に余裕がなければ保険加入も検討しましょう。余裕がないのに保険料を払って保険に加入するというのは矛盾しているよう思うかもしれませんが、万が一のことを考えると仕方のないことなのです。
一般的な医療保険に加入をすることも一つの方法ですが、入院や手術が給付金の要件になっている保険がほとんど。抗ウイルス薬が処方されるだけでは給付金が出ません。そこで新型コロナウイルス感染症の抗ウイルス薬は高額な自己負担が発生することに注目した「コロナ治療薬保険」が登場しています。ある保険では新型コロナウイルス感染症の抗ウイルス薬が処方されたら1.5万円~3万円が給付されます。従来であれば貯蓄で準備するしかありませんでしたが、現在は保険という選択肢も登場しています。お金の問題で抗ウイルス薬を処方してもらうことに躊躇しないよう、しっかりと備えておきましょう。