このコラムは一般的な情報をご提供するものであり、当サイトの保険のご加入をお勧めするものではありません。
予防しても残る感染リスク インフルエンザ保険を考えるタイミング
今年は例年より早くインフルエンザの流行が始まっています。厚生労働省によると、2026年は8月28日に流行入りが公表されました。感染症法が施行された1999年以来2番目に早い流行入りです。
実はこの記事を書こうとしていた矢先、私自身がインフルエンザA型に感染してしまいました。最高体温は39.7度。高熱に加えて咳や吐き気もあり、3日ほどほとんど仕事ができない状態が続きました。その間に予定していた仕事はすべてキャンセルです。実際にかかってみて感じたのは、インフルエンザによる経済的な負担を考えるとき、治療費だけを見ていてはいけないということです。
今年は異例の早さで流行
インフルエンザというと「冬の病気」というイメージがあります。厚生労働省によれば、日本では例年12月から3月が流行シーズンです。
ところが近年は流行の時期に変化が見られます。2025/26シーズンも、2025年秋と2026年冬に流行の山がある二峰性となりました。そしていったん落ち着いた後、2026年8月には再び流行入りしています。国立健康危機管理研究機構によると、第34週の定点当たり報告数は1.11、第35週には1.76まで増加しました。寒くなってから対策を考えるだけでは十分とはいえなくなっているようです。
基本は、まず感染・発病のリスクを下げる
だからこそ、まず大切なのは日頃からの感染症予防です。手洗いや換気などの基本的な感染対策に加えて、代表的なのが予防接種です。
厚生労働省によると、現在のインフルエンザワクチンは、感染そのものを完全に抑える働きはありませんが、発病を一定程度抑える効果があり、さらに重症化を予防する効果も期待できる、としています。接種費用は医療機関によって異なり、自治体や健康保険組合などから補助を受けられる場合もあります。仮に1回4,000円前後かかったとすれば、「病気でもないのに4,000円払うのはもったいない」と感じる人もいるかもしれません。しかし、今回の経験から考えると、数千円をかけてでも、まず病気になる可能性を下げることには十分意味があると感じます。
治療費は3,150円。でも仕事は3日間できなかった
今回、私が医療機関で実際に支払った金額は3,150円でした。もちろん治療内容や薬、加入している公的医療保険などによって自己負担額は変わります。それでも、インフルエンザの治療費そのものが、直ちに家計を揺るがすほど高額になる人はそれほど多くないでしょう。
ところが、仕事への影響は別です。私は3日間、予定していた仕事をすべてキャンセルしました。会社員であれば、有給休暇を使える場合があります。また、業務外の病気やケガで働くことができず、連続する3日間を含めて4日以上仕事を休むなど一定の条件を満たせば、健康保険から傷病手当金を受け取れることがあります。傷病手当金は待期3日間の後、4日目以降が支給対象となり、1日当たりの支給額は原則として標準報酬日額のおおむね3分の2です。
しかし、自営業者の場合、状況は大きく違います。仕事を休めば、その日に予定していた仕事ができません。延期できればまだよいのですが、仕事自体がなくなれば、その分の売上や収入機会を失うことになります。治療費は3,150円でも、3日間働けなかったことによる経済的な影響は、それよりはるかに大きくなる可能性があります。
インフルエンザのコストは「病院代」だけではない
これは会社員にも無関係ではありません。有給休暇を使えば、その月の給与は減らないかもしれません。しかし、本来は旅行や家族との時間など別の目的に使えた有給休暇を消費することになります。
また、本人は元気でも、子どもがインフルエンザになれば、親が仕事を休んで看病しなければならないこともあります。家庭内で感染が広がり、家族が次々に発症すれば、影響はさらに大きくなります。食料や飲料を普段より多く買ったり、買い物に行けず宅配を利用したりといった追加支出もあるでしょう。つまり、インフルエンザの家計負担は、
治療費+追加支出+働けないことによる経済的損失
と考えた方が実態に近いのです。今回、自分自身が感染したことで、特に大きいのは最後の「働けないことによる損失」だと実感しました。
予防しても、リスクをゼロにはできない
予防接種を受ける、手洗いや換気などを心がける、体調が悪ければ無理をしない。病気にならずに済むのであれば、それが一番です。しかし、どれだけ気をつけても感染する可能性をゼロにすることはできません。
最後に考えたいのが保険です。いくら予防しても残る経済的なリスクにどう備えるかです。数千円程度の治療費であれば、貯蓄から支払うことができる家庭も多いでしょう。一方、仕事を休むことによる収入減などは、人によって数万円、それ以上になることも考えられます。
インフルエンザなどの感染症に対しては、従来であれば一般的な医療保険で備えるという考え方が一般的でした。ところが、一般的な医療保険の中心的な保障である入院給付金は、入院しないと受け取れません。抗インフルエンザ薬を処方され在宅で療養することが一般的なインフルエンザでは、どうしても給付金を受け取れないことが多くなります。
そこで、最近はインフルエンザのような感染症に備える保険が登場しています。感染症保険の中には、入院をしなくても、病院などで抗インフルエンザ薬を処方されるなど一定の条件を満たせば定額の給付金を受け取れるものもあります。補償される条件や金額、保険期間などは商品によって異なりますので、加入する場合には内容をよく確認することが大切です。
病気に備えるというと、私たちはつい「治療費はいくらかかるのか」と考えがちです。しかし今回、私は3,150円の治療費よりも、3日間仕事ができなかったことの方に大きな経済的影響を感じました。インフルエンザが早くも流行している今年だからこそ、「かかったときの治療費」だけでなく、「かかったら自分の仕事や家計に何が起こるのか」まで、いま一度考えてみてはいかがでしょうか。