保険ショップで相談する前に読んでおきたい話

保険ショップで相談する前に読んでおきたい話

そもそも保険ショップって何?

テレビを見ているとお店のカウンターで保険の相談をしているコマーシャルを見る機会が増えました。これらは「保険ショップ」と言われるサービスの宣伝です。
かつては、保険は「説得商品」と言われる時代がありました。消費者は保険について知識も興味もないので、営業員が消費者に保険の必要性を説得して加入してもらうものだ、という意味です。1990年代までは職場に保険の営業員が出入りして、保険の営業をする「職域営業」が多くの会社で行われていました。私も新入社員時代にある生命保険会社の営業員と仲良くなり、その後、保険への加入を「説得」されるようになり最終的に加入しました。このように積極的な営業を受けて加入すると、押し付けられたのではないか、本当に大丈夫か、といった不安が大きくなることを経験しました。同じような経験を持つ方は、40歳代以上の方には多いのではないでしょうか。

時代は変わり、今では職場に出入りする保険の営業員はとても少なくなっています。そのため、ある意味で保険と出会い、保険加入を説得される機会が減っています。その一方で増えているのが、消費者が自ら保険の必要性を学び、自分にあった保険を探し、加入するという、ある意味理想的とも言える方法です。

いまやインターネットを検索すれば、保険とは何か、なぜ保険に加入すべきなのか、といった情報があふれています。保険商品に関する情報もたくさん探すことができます。その気になれば、保険に関する情報を集めることが簡単にできる時代となりました。とは言え、そもそも保険へ加入する必要性を感じなければ情報を調べることすらしません。また、情報があふれると、取捨選択することが難しくなり読むことすらあきらめてしまうかもしれません。

そういった背景からニーズが高まっているのが「保険の相談」です。営業員が説得しにくるのではなく、消費者から進んで保険について相談するサービスです。自分で勉強しても分からないことを教えてくれる人がいれば安心です。また、納得いくまで説明してくれて、自分にあったプランが作れるようアドバイスをしてもらえればもっと安心です。そういったサービスが求められているのです。

その一つのサービス形態として登場したのが「保険ショップ」。保険のことを無料で気軽に相談できる窓口として全国に広がりました。きっとみなさんもショッピングモール、スーパーマーケットのような人が集まる場所だけでなく、駅の近くの街中で何度も見たことがあるのではないでしょうか。


保険ショップにはどのような種類があるの?

通常、保険ショップは保険代理店が運営しています。保険ショップにはいくつかの形態があり、取り扱い商品や品ぞろえなどに違いがありますので知っておきましょう。

(1)一社専属型

保険会社の子会社の保険代理店が運営する保険ショップや、保険代理店が特定の保険会社と専属契約をして運営される保険ショップです。親会社の保険会社や専属契約をしている保険会社、およびその系列の保険会社の商品を専門に扱います。その保険会社の商品について詳しい説明を受けることができるでしょう。一方で、他の会社の商品との比較はしてもらえないのがデメリットです。

(2)複数保険会社乗合型

複数の生命保険会社や損害保険会社と代理店契約を結んだ保険代理店が運営する保険ショップです。複数の保険会社と契約を結ぶ代理店は乗合代理店と言います。保険種類が豊富で、複数の保険会社の商品を比較しながら選ぶことができるのがメリットです。一方でどうしても商品数が多くなれば、提案するスタッフの知識やスキルが追い付かない場合も見られます。

また、乗合型の保険ショップの中にも独立型と系列型という2つの形態があります。独立型はどの金融機関にも属さない保険代理店によって運営されています。系列型は保険会社と資本関係がある系列代理店によって運営されています。独立型の方が比較的フラットに提案してくれると期待でき、系列型は系列の保険会社の商品を提案する方にバイアスがかかりやすいかもしれません。外からは独立型か系列型かはわかりにくいのが現状です。

保険ショップでは何をしてくれるの?

保険ショップは保険代理店が運営していますから、保険の加入手続きや、加入している保険の住所変更や保険金請求などの保全業務が本来の仕事です。ただ、保険ショップの売りは無料で気軽に相談できること。むしろ相談がメインの仕事と言ってもいいかもしれません。そのため、気軽に相談できるよう人の集まりやすい場所に出店されるケースが多いのです。

保険ショップによって相談できる内容は異なりますが、おおむね以下のような内容の相談をすることが可能です。

・ライフプラン相談
結婚、出産、教育費、老後資金など、今後の人生でかかるお金を分析し、どのようにお金を準備するのか相談に乗ってくれます。

・必要な保障額の試算
死亡、入院など人生におけるさまざまな不安。実際に万が一のことが起こった時にどの程度の経済的リスクがあるのかを計算してくれます。経済的なリスクを金額で表したものを必要保障額といいます。

・現在加入している保険内容の分析
毎月保険料を払っているのに、加入している保険の内容を知らない方は多いものです。専門家に加入内容を見てもらい教えてもらうことができます。

・自分にあった保険を提案
加入したい保障の種類や家族のライフプラン、必要保障額などにあった保険を提案してくれます。乗合型の保険ショップであれば、複数の保険会社の商品を比較して選ぶことも可能です。

その他、保険だけでなく資産運用、相続、マイホーム購入などの相談にも乗ってくれるショップもあるようです。

他に保険の相談をしたり加入する方法はないの?

もちろん、無料で保険の相談をしたり保険に加入する方法は保険ショップだけではありません。

従来のように、保険会社の営業員に相談することができます。現在も主流の方法です。また、街には保険ショップを運営していない保険代理店もたくさんあります。保険ショップと同じようなサービスが受けられる代理店が多くあります。また、私たちのようなファイナンシャル・プランナーは一般的に有料ですが保険の相談ができます。

最近はインターネット上から直接加入できる保険会社も増えました。また、インターネット上で保険を比較しながら加入できるサービスも増えています。このYahoo!保険もその一つで、条件に合った保険商品の比較ができますし、インターネットで保険の設計もできるようなっています。

今では、さまざまな保険の相談窓口や加入方法があることが分かります。自分に合った方法を見つけてみましょう。

保険ショップの上手な活用法

ここまでで見てきたように保険ショップの特徴は「無料」で気軽に「保険の相談」ができること。ただし、無料のサービスを利用する際には、どこで利益を得ているかを考える必要があります。保険ショップは保険代理店が経営していますので、保険に加入してもらうことで保険会社から支払われる代理店手数料で運営されています。

この仕組みから、消費者と保険ショップとの間で利益相反が生じる可能性があります。専門家と消費者の間には知識レベルや情報量の差があるのが普通です。本来は必要のない手数料の高い保険を勧められる事例も多く見られます。また、同じような保険の中でもより手数料の高い保険会社の保険を優先して勧めることも問題になりました。そうしたことから、金融庁は、加入者の意向確認や商品の公正な比較などを徹底し、利益相反が起こりにくい策を進めています。ただ、それでも利益相反事案はなくならないのが実情です。

また、自分の家族のライフプランやもしもの時の保険プランといった重要な相談するのですから、できるだけ経験豊富ないい人に相談したいと思うはず。ところが、保険ショップは急激な成長を見せてきただけに、人的な育成が追い付いていないことも事実です。知識やスキルの高い人に当たればいいですが、未熟な人に当たるかもしれません。未熟な人に当たった場合、相談しても満足感は低いかもしれません。とはいえ、これだけ全国に店舗があり、無料で気軽に相談できるサービスには価値があります。消費者として上手に使う方法を考えたいところです。

保険ショップの相談は無料です。ですから、保険ショップを複数ハシゴしてみてはどうでしょうか。最初は相談する側も要領を得ないかもしれませんが、相談しているうちに知識もついてきます。自分のことを考えて提案してくれているのかも徐々に分かるようになってくるでしょう。保険ショップの良しあしはもちろんですが、何と言っても信頼できる担当者との出会いが重要です。安心して相談できる、納得できるまで説明してくれる担当者を探してみましょう。

情報提供: 家計の見直し相談センター(外部サイト)

ライタープロフィール

藤川太

ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来30000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。 著書に『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』(プレジデント社)、『やっぱりサラリーマンは2度破産する』(朝日新書)などがある。

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