50代からは自分のための保険を

50代からは自分のための保険を

50代に入ると、子育て世帯も子供たちが親の手を離れ始め、家族の形も変化し始めます。40代までの保険は、どちらかと言うと自分以外の家族のために入るケースが多いものです。ところが、50代に入ると、自分のために保険加入を考える人が多くなります。

保険相談の現場では、40代までは死亡保障の確保についての相談が多いのですが、50代以上の方からは介護保険や医療保険、がん保険といった自分に何かあったら頼りになる保険に関する相談が多くなります。50代は身体の変化が気になり始める年代でもあるからでしょう。私も50代に入りあちこち細かい不調が出てきて、より一層健康に気を使うようになりました。今回のコラムでは特に50代の方が気になっているがん保険を取り上げてみましょう。


がん保険でいうがんとは何なのか

がん保険は文字通り、がんの治療等に対し保障される保険ですが、がん保険の「がん」とはどのように決められているのでしょうか。

がん保険の支払い対象となる「がん」については、契約時に交付される約款(契約前でも確認できます)に記載されています。一般的には別表として約款の最後の方に「対象となるがん」の一覧が図表のように記載されています。

国際保健機構(WHO)がまとめた「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)」に準拠して厚生労働省がまとめた「疾病、傷害および死因統計分類」に基づいて多くのがん保険では「対象となるがん」を定義しています。

確認するとわかるように、私たちが想像するがんはほぼすべて網羅される形で定義されていると考えてよさそうです。いわゆる悪性新生物だけでなく、白血病など血液のがんと言われる病気も含まれます。また、上皮内新生物も保障対象に入れている保険も多く発売されています。例のように基本分類コード「D00~D07、D09」が入っていれば、上皮内新生物も対象となる保険ということになります。

<例>対象となるがん

分類項目 基本分類コード
口唇、口腔および咽頭の悪性新生物<腫瘍> C00~C14
消化器の悪性新生物<腫瘍> C15~C26
呼吸器および胸腔内臓器の悪性新生物<腫瘍> C30~C39
骨および関節軟骨の悪性新生物<腫瘍> C40~C41
皮膚の悪性新生物<腫瘍> C43~C44
中皮および軟部組織の悪性新生物<腫瘍> C45~C49
乳房の悪性新生物<腫瘍> C50
女性生殖器の悪性新生物<腫瘍> C51~C58
男性生殖器の悪性新生物<腫瘍> C60~C63
腎尿路の悪性新生物<腫瘍> C64~C68
眼、脳および中枢神経系のその他の部位の悪性新生物<腫瘍> C69~C72
甲状腺およびその他の内分泌腺の悪性新生物<腫瘍> C73~C75
部位不明確、続発部位および部位不明の悪性新生物<腫瘍> C76~C80
リンパ組織、造血組織および関連組織の悪性新生物<腫瘍> 、原発と記載されたまたは推定されたもの C81~C96
独立した(原発性)多部位の悪性新生物<腫瘍> C97
上皮内新生物<腫瘍> D00~D07、D09
真性赤血球増加症<多血症> D45
骨髄異形成症候群 D46
慢性骨髄増殖性疾患 D47.1
本態性(出血性)血小板血症 D47.3
骨髄線維症 D47.4
慢性好酸球性白血病[好酸球増加症候群] D47.5

医療保険ではがんは保障されないのか

がん保険にはさまざまな種類の保障が登場しています。昔ながらのがん保険では、がん入院保障とがん手術保障が中心でした。がんの治療のために入院したときに保障されるのが「がん入院保障」。がんの治療のために手術したときに保障されるものが「がん手術保障」です。つまり他の病気で入院や手術をしても保障はされない、がんに特化した保障です。

一方で、医療保険は病気だけでなくケガをして入院や手術をした際にも保障されます。医療保険とがん保険にそれぞれ別個に加入している人に多いのですが、医療保険では「がん」は保障されない、と勘違いしている方がいます。「がん保険」という存在があることによる勘違いなのですが、がんも当然ながら病気ですので医療保険の保障対象です。

医療保険とがん保険に両方加入している方は、がんで入院や手術をすれば、医療保険とがん保険それぞれから給付金が支払われることになります。

がん保険で何を保障してくれるのか

古い時期の契約ほど、がん保険の基本保障とも言える「がん入院」「がん手術」「がん診断一時金」の3点セットで加入している方が多いはず。ところが、最近は放射線治療や抗がん剤治療の比率が高くなり、入院や手術をせずに通院しながら治療することも増えてきました。それに伴い、入院や手術の保障では対応しづらくなっています。

近年の医学の進歩により、新しい治療技術が開発されています。特にがんに対する医療技術の進歩は著しいものがあります。そのため、10年、20年前に入ったがん保険が、気が付けば時代遅れになるということが起こりやすいのも特徴なのです。

一方で、こうした医療技術の進歩を反映し、がん保険には多くの種類の保障が登場しています。最近ではがん通院や先進医療の保障がついたがん保険が増えています。また、抗がん剤治療やホルモン剤治療といった特定の治療方法に絞った保障も登場しています。

<基本保障>

がん入院 がんの治療の目的で入院したとき
がん手術 がんの治療の目的として手術をしたとき
がん診断一時金 がんと診断確定されたとき

<オプション的な保障>

がん先進医療 がんの治療を目的とした先進医療給付金の支払われる療養を受けたとき
がん通院 がんの治療の目的で所定の通院をしたとき
がん退院 がんで所定の期間以上の継続入院後に退院したとき
抗がん剤治療 抗がん剤による治療を受けたとき
ホルモン剤治療 ホルモン剤による治療を受けたとき

がん保険はがん診断一時金に注目

多くの種類の保障や手厚い保障があれば安心ですが、どうしても保険料は高くなりがちです。もしも、少しでも保険料を絞り込みたいとすれば、どの保障を重視すればいいのでしょうか。

数ある保障の中でも「がん診断一時金」に注目しましょう。がん診断一時金は、一般的にがんと診断確定されれば支払われる保障です。つまり、入院も手術も必要ありません。何に使ってもいいのです。この保障であれば、将来医療技術が変化したとしても支払われないということはありません。

むしろ、がんの診断技術が発達していけば、より早期にがんを発見することができるようになります。つまり、これまで見つからなかったようながんも見つかるようになってきます。がん診断一時金は医療技術の進歩とともに支払われやすくなる保障とも言えます。ですから、時代とともにニーズが変化するがん入院やがん手術よりも、がん診断一時金を重視したいのです。

とは言え、一般的ながん保険はがん入院が主契約となっているので、がん診断一時金だけで加入することはできません。ところが、一部の保険会社ではがん診断一時金を主契約とすることで、がん診断一時金だけで加入できる保険を販売しています。保険料を絞り込みたいのであれば、こうした保険を選ぶのもいいでしょう。

また、古くから加入しているがん保険にがん診断一時金がついているなら、がん診断一時金を重視し費用対効果を考えて検討してみましょう。加入しなおせば高確率で保険料は高くなります。新しい保険に見直さなくては使えないというわけではないので、冷静に判断してください。

情報提供: 家計の見直し相談センター

ライタープロフィール

藤川太

ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来30000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。 著書に『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』(プレジデント社)、『やっぱりサラリーマンは2度破産する』(朝日新書)などがある。

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