このコラムは一般的な情報をご提供するものであり、当サイトの保険のご加入をお勧めするものではありません。
新生活がスタート 何をしておくべきか
新入学の学生さんたち、新社会人の皆さんが街にあふれる季節は、毎年フレッシュな気持ちにさせてもらえます。はるか昔ではありますが、私にもフレッシュな新人だったときもありました。特に大学に入学したときは初めての一人暮らしをしました。新しい経験ばかりで戸惑うばかりの毎日でした。空を見上げ月を見る余裕ができたのが、入学して1年以上経過した後のことだったのを覚えています。皆さんも戸惑いや不安も大きいでしょうが、新しいことでもどんどん挑戦してみましょう。
まずは銀行口座を開設しよう
2022年4月から成人年齢が18歳になり、高校卒業時にはほとんどの人が成人という時代となりました。新しい生活を始めるにあたり、まずやっておきたいのが銀行口座の開設です。
まず開設したいのは生活するお金のやりくりを行う口座です。給料や仕送りを受け取ったり、公共料金を引き落としたり、生活費を引き出したりするのが目的です。どの銀行で口座開設をしても構いませんが、生活用口座として考えたいのが利便性です。恐らくもっとも利用する口座となるので、自分の生活圏を考えて最も便利な銀行を考えましょう。
生活用口座を開設する銀行は、生活圏に店舗があることが条件となるでしょう。金融取引に慣れていないなら現金を使う局面が多くなるはず。お金を引き出すだけでなく、振り込みなどの取引も店舗やATMで行うことも多くなります。新社会人の人であれば、会社指定の銀行があるかもしれません。その場合は、会社の近くにその銀行の支店があるケースが多いでしょう。
最近、ほとんどの銀行で利用できるのがインターネットバンキング。インターネット上で預金残高の確認だけでなく、振り込み手続きなどの金融取引ができるサービスです。こうしたインターネット取引が普及するにつれ、銀行の店舗数は減少傾向が続いています。また、紙の通帳を発行する際に手数料がかかる銀行も出てきています。店舗や紙の通帳にこだわりすぎると、利便性が年々落ちていくことになります。近いうちにインターネットバンキングを使うのが当たり前の時代になると思われます。慣れるととても便利なインターネットバンキングですから、積極的に活用しましょう。
目的別で口座を使い分けよう
銀行口座は複数の銀行で開設することができます。目的別に銀行を使い分けることも考えましょう。
一つ目の口座は生活用口座として使うだけでなく、クレジットカードを作ったらお金の引き落とし口座としても指定することになるでしょう。クレジットカードを利用すると、実際に買い物をしたときと、口座からお金が引き落とされるまでにタイムラグが生じます。一回払いであれば翌月末には引き落とされます。ところが、複数回払い、リボ払いなどを利用すれば、もっとタイミングがずれることになります。そのため、お金の管理がとても難しくなるだけでなく、クレジットの手数料までかかり、お金をたくさん使ってしまう結果となるでしょう。
どうせ買い物をするならポイントをつけたいと積極的にクレジットカードを使う方も多いでしょう。でも、ポイントをつけるためにお金を使いすぎる、といったことにならないように注意が必要です。ポイントが目的なら、必ず一回払いにするなど、お金を管理するためのルールを決めておきましょう。
また、生活用口座の他に貯蓄用口座も作るのがお勧めです。生活用口座にお金がたくさん入っていると、気が大きくなって使ってしまいがちです。毎月決まった額を貯蓄用口座に積み立てていきましょう。毎月の生活費も余れば、そのお金も貯蓄用口座に移すことでもっと貯蓄ペースが上がります。
貯蓄用の口座であれば、少しでも金利の高い銀行に口座開設したいものです。貯蓄用口座を開設するのは、インターネット銀行がお勧めです。一般的な銀行では1年満期の定期預金金利は0.002%でほとんど金利はつきません。ところがインターネット銀行の中には0.2%以上の金利をつけているところもあります。その差はなんと100倍です。
インターネット銀行では、インターネット上の取引がメインなので実店舗はほとんどないものの、コンビニのATMなどが利用できるので不便はありません。貯蓄用口座に着実にお金が貯まっていけばモチベーションがあがります。また、生活用口座と別になっていることで取り崩そうとしても心理的にブレーキがかかりやすくなります。慣れてくれば目的別に金融機関を選び、もっと口座数を増やしてもいいのですが、まずは生活用と貯蓄用の2つの口座に分けて管理してみましょう。
証券口座を開いてみよう
お金を管理する仕組みができたら、次は証券口座を作ってみましょう。いくらインターネット銀行の金利が高めといっても0.2%程度。10万円の預金があっても1年間で200円の利息(税金は考慮せず)です。振込手数料を一度払えば無くなってしまうレベルの金額です。
超低金利時代に生きる皆さんにとって、資産運用はできるだけ身に着けておきたい技術一つです。知識や経験を身に着けるためにも、少額でいいので月々預金をしている金額の一部を投資信託つみたてにしてみましょう。
国は「貯蓄から投資へ」をスローガンに、有利な投資制度を設けています。少額投資非課税制度「NISA」「つみたてNISA」や、個人型確定拠出年金制度「iDeCo(イデコ)」です。投資初心者であれば「つみたてNISA」から始めてみましょう。
「つみたてNISA」は年間40万円まで積み立てでき、投資した年から最長20年間にわたり非課税で運用できる制度です。通常は運用益に対して約20%の税金がかかります。つまり、10万円の利益が出れば約2万円の税金がかかり手取りが8万円となります。これが非課税となれば、税金はゼロで丸々10万円が手取りとなるわけです。つみたてNISAは銀行で始めることもできますが、証券会社の方が商品のラインナップも豊富で、月100円から積み立てできる会社もあるなど利便性は高い傾向があります。始めるなら証券会社に口座を作ってみましょう。
月1万円の積み立ては年12万円、10年で120万円、20年で240万円にも積み重なります。さらに、長く運用するほど世界経済の成長の果実を多く受けることが可能です。若い人ほど長い時間をかけて資産運用することができます。若いことは資産運用においては武器になるのです。
保険にも加入してみよう
万が一に備えることは後回しになりがちですが、生活上のリスクをカバーするために保険にも加入することは大切です。昔は職場に保険会社の人が来て営業していました。私は新入社員のときに、営業の人から言われるがまま加入しました。ところが、後から加入しなければよかったと悩むことになりました。必要かどうかも分からないまま、3万円以上の保険料を毎月払っていたのです。よく考えず、人任せにすることの怖さを知りました。
当然ながら保険をかけるには保険料がかかります。そのため、手厚く保険をかければ、安心を得ることができる一方で貯蓄がしにくくなります。お金がもったいないからと保険をかけないでいると、お金は貯まるかもしれませんが、何かあった時には困るかもしれません。
まとまった貯蓄がある人であれば、病気やケガをしてしばらく働けなくなっても何とかしのぐことができるかもしれません。また、不幸にも亡くなったとしても、お葬式の費用くらい出せるかもしれません。でも実際にはそこまでの貯蓄はないという人が多いはず。貯蓄がないからこそ保険料を払って保険に入った方が安心、というのは皮肉な話です。
必要な保険には加入すべきですが、必要ではない保険に加入したり、保険に入りすぎるのは避けるべきです。たとえば、一般的に単身者には高額な死亡保障は必要ありません。死亡保障に加入したとしても死後の整理の費用として2~300万円程度あればいいでしょう。むしろ、病気やケガをしたときに、お金がなくて治療ができない、収入が減って生活が苦しい、ということを避けることを優先すべきです。また、自動車に乗るなら自動車保険に、部屋を借りるなら借家人賠償責任保険に入るべきです。万一のときに、自分の人生が狂わないように備えることも成人としての心得の一つです。
現在はインターネットで情報を集めることもできますし、保険加入もできる時代です。しっかりと比較検討し、納得した上で保険に加入しましょう。
取引しながら慣れていこう
一生涯の中で私たちが動かすお金を合計すると数千万円、数億円という単位になります。それだけに、保険料が1割違えば、手数料率や金利が1%違えば一生涯で数百万円の違いになることも多くあります。
金融商品や金融取引は生活するうえで欠かせないものですが、難しい、わかりにくい、という理由でつい避けがちです。勉強と思えば遠い存在になりやすいので、若いうちから取引を行ってみましょう。やってみれば興味を持てるようになりますし、多くのことは思ったよりも難しいものではないことにも気が付くはず。少しずつでいいので、上手につきあっていくスキルを身に着けていきましょう。