このコラムは一般的な情報をご提供するものであり、当サイトの保険のご加入をお勧めするものではありません。
新型コロナウイルスCOVID-19で保険はどうなる?
中国で感染拡大をはじめた新型コロナウイルス(以下、COVID-19)による感染症が世界中に広がっています。わが国でも感染者数の増加が続いており、感染拡大を防止するため大規模な集会等の自粛が続いています。また、全国の小中学校等に休校が要請され、全国の小中学校がいきなり長い春休みに突入する事態となりました。通常のインフルエンザに比べるとまだ感染者数も少ない状況ですが、もしもこのCOVID-19感染症にかかった場合、私たちはどうなるのでしょうか。
COVID-19感染症とは
COVID-19感染症はウイルス性の風邪の一種です。COVID-19に感染した場合の症状としては発熱や咳、だるさ(倦怠感)といった風邪症状がみられます。国内では発熱や呼吸器症状が1週間以上続き、強いだるさを訴える方が多いようです。重症になると肺炎や息苦しさ(呼吸困難)を引き起こします。一方で、COVID-19に感染しても症状が出ない無症状者も多数いることが報告されています。
毎年のように流行するインフルエンザもウイルス性の風邪ですが、ワクチンを接種して予防することができます。インフルエンザの予防接種はウイルスの種類が異なるためCOVID-19には効果がありません。まだCOVID-19のワクチンは開発されていないため予防することができません。
また、インフルエンザはタミフルなど効果的な治療薬が開発されていますが、COVID-19に有効な治療薬はまだ見つかっていません。そのため、COVID-19に感染した場合、発熱や咳などの症状を緩和する目的の対症療法として、解熱剤や鎮咳薬の投与、点滴等を実施している状況です。対症療法によって症状を緩和しつつ、ウイルスに対する抗体が作られウイルスが排除されて治癒するのを待っている状態です。現在、新型インフルエンザ薬として開発された「アビガン」や、エボラ出血熱に効果的とされる抗ウイルス薬「レムデシビル」なども投入され臨床データを収集しており、時間とともに有効な治療薬が見つかるものと期待されます。
このようにCOVID-19はインフルエンザに似たような感染症ですが、いまのところ予防も治療も有効な方法がない新型ウイルス感染症です。このよく分からないCOVID-19感染症への恐れから、日本だけでなく世界中で社会的、経済的な混乱が発生しています。
COVID-19は指定感染症・検疫感染症に
COVID-19感染症の拡大を防止するために、政府は感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)上の「指定感染症」、検疫法上の「検疫感染症」に指定しました。
「指定感染症」となったことで、COVID-19への感染が確認された場合、法律に基づいて強制的な措置をとることができるようになりました。都道府県知事は感染が疑われる人に対し検査を受けることを勧告したり、感染者に対し感染症対策が整った感染症指定医療機関などへの入院を勧告することができます。勧告に従わない場合には、法律に基づいて検査、入院させることもできます。また、都道府県知事は感染の拡大を防止するために、感染者に対し仕事に従事しないよう就業制限もできます。
当初は保健所が必要と認めた場合に検査が行われ、その費用は全額公費で賄われてきました。3月初旬からは全国に設置された「帰国者・接触者外来」など感染対策が整った一部の医療機関の医師の判断で検査をする場合に保険適用できるようになりました。保険適用されたことで、これまでより柔軟に検査できるようになり、検査の件数が増大することが予想されます。一方で、その検査費用は本来3割負担となりますが、保険適用後も自己負担分を公費で負担することになりました。
通常の病気をカバーする保険では保険金支払いの対象となる
では、COVID-19に感染してしまった場合、治療にかかる医療費などは公的にはどのように保障されるのでしょうか。
まず、感染症法による措置で入院した場合には、入院にかかる医療費は公費で負担することになるので経済的な負担はありません。また、入院すれば仕事を休まなくてはならなくなりますが、会社員であれば加入している健康保険から傷病手当金を受け取ることもできます。ところが、自営業やフリーランスの方の場合、同様の保障がないことに注意が必要です。万が一、死亡した場合には加入している年金制度から遺族年金が支払われるのは通常の死亡時と同じです。
一方で、私たちが加入でいる民間の保険での扱いはどうなっているのでしょうか。まず、病気死亡や病気入院・手術など病気全般に対する保険は、普通の病気と同様に保険金や給付金の支払い対象となります。また、海外旅行保険には病気による医療費や死亡時の保障が通常ついていますが、これらも支払い対象となります。
指定感染症の治療のために入院するなどした場合には、一定期間働くことができなくなります。その場合、就業不能保険や所得補償保険の支払い対象となる可能性があります。ただし、通常は60日や90日といった期間を超えて働けない場合が対象となっているので、多くの場合で支払われないでしょう。
また、私たちが加入している保険には、災害死亡時の保障や傷害保険などのケガに対する保険もあります。指定感染症はケガではないので基本的には保険金の支払い対象にはなりません。これらの保険にも特定感染症特約がついていたり、約款に感染症が支払い対象となると規定されているケースがあります。この場合も感染症法上の「一類感染症」「二類感染症」「三類感染症」の特定感染症が支払い対象となっています。COVID-19は現在のところ指定感染症であり特定感染症ではないので支払い対象とはなりません。
これまでもSARSやMERSのような新型コロナウイルスによる感染症が流行しましたが、これらも当初期限つきで指定感染症になり、その後に二類感染症となっています。二類感染症となった後に支払事由に該当すれば、特定感染症に対する保険からも保険金が出ることになります。
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過度に恐れず冷静に対応しよう
保険は経済的なリスクをカバーしてくれますが、COVID-19から私たちを守ってくれるわけではありません。基本は自分の身は自分で守ること。しっかりと手洗いをするのは基本です。マスクに関しては専門家の間でも有効性が議論されていますが、満員電車に乗ったり、多数の人が集まる場所に行く場合にはマスクをした方が感染リスクは小さくなるでしょう。
COVID-19は指定感染症になったことですごく大変な病気のようなイメージがつきました。たしかに、いまだに有効な治療法がわからない状態が続いており、怖い病気ではあります。ただ、いずれ治療法も確立されていき、収束していくでしょう。そうすればインフルエンザなどの感染症と同じような扱いになっていくものと考えられます。過度に恐れることなく、冷静に対応していきましょう。