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インフルエンザ対策は万全ですか?
ここ数年、インフルエンザがはやっておらず、すっかり過去の病気のように感じている方がいるかもしれません。ところが、インフルエンザウイルスは絶滅したわけはありません。条件さえ整えば過去のように流行してもおかしくありません。そこで、今回はインフルエンザについて再確認してみましょう。
インフルエンザは恐ろしい感染症
インフルエンザの流行は古くから記録があるようですが、科学的に確認できるのは1900年ころから。日本では明治時代にあたりますが、この100年ちょっとの間でインフルエンザの世界的大流行(パンデミック)が何度か発生しています。一番有名なのは1918年(大正7年)から大流行した「スペイン風邪(インフルエンザ)」ですが、世界で2,000万人とも4,000万人とも言われる膨大な死者が発生しました。わが国でも約40万人もの死者が出たと言われています。
風邪とインフルエンザは似ているようで違います。風邪はさまざまなウイルスによって引き起こされ、咳、くしゃみ、鼻水、のどの痛みなどの症状が現れますが、発熱をしても高熱になりにくく全身の痛みのような症状はあまり出ません。
一方のインフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされます。風邪同様に、咳、くしゃみ、鼻水、のどの痛みなどの症状が現れるだけでなく、38度以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感等の全身症状が現れるのが特徴です。例年であればわが国でインフルエンザに感染する人は年間1000万人程度と言われています。
子供がまれにインフルエンザ脳症になったり、高齢者や体力が低下した人、基礎疾患のある人には肺炎などにより重症化し、最悪死亡することもある病気です。例年のインフルエンザ関連死者数は年間1万人程度とも言われる恐ろしい感染症なのです。
季節性インフルエンザと新型インフルエンザ
私たちが俗に言うインフルエンザは「季節性インフルエンザ」のことを指しています。わが国では毎年12月~翌年の3月が流行期で、今年もインフルエンザの流行期に入りました。
インフルエンザには大きく分類するとA型、B型、C型があります。私たちの間で流行するのはA型とB型です。C型は感染力が弱く大きな流行にはなりませんので、あまり聞いたことがないのはそのせいです。特にA型のインフルエンザはウイルスが少しずつ変化しながら毎年世界中で流行しています。
そして、時折大きく変異したインフルエンザウイルスが現れます。新しいウイルスに対する免疫は獲得できていないので、急速に感染が広がってしまいます。このような新しいタイプのインフルエンザのことを新型インフルエンザと言います。
過去のスペイン風邪のようなパンデミックはその当時の新型インフルエンザとして登場し、拡大していきます。新型インフルエンザも感染が広がり多くの人が免疫を獲得すると、季節性インフルエンザの一種へと落ち着いていきます。
また、毎年のように鳥インフルエンザのニュースが流れます。これまでのところ継続的な人から人への感染が確認されていませんが、今後も変異を繰り返すことで感染性の高いインフルエンザが現れるかもしれません。引き続き注意が必要なインフルエンザウイルスです。
まずはインフルエンザにかからないための予防を
インフルエンザウイルスは口や鼻、目の粘膜から体の中に入り込みます。体の中に入ったウイルスが細胞に侵入し増殖を始めます。この状態になったら、インフルエンザに「感染」したと言います。そして、ウイルスが体内で増殖することで、発熱やのどの痛みなどの諸症状が出てきます。この状態が「発病」です。
発病しても多くの人は1週間程度で回復します。ところが、中には肺炎や脳症などの重い症状となり、入院治療を余儀なくされることもあります。こうした状態が「重症化」で、さらに悪化して死亡される方も出てきます。
まずは、インフルエンザウイルスに感染しないことが一番です。そのためには、体内に取り込まないことです。外出時にはマスクを着用し、こまめに手洗い等をすることで体についたウイルスを除去しましょう。
また、室内ではこまめに換気をすることも重要です。インフルエンザが感染拡大するのが寒い時期なので窓を開けるのはつらいかもしれません。その場合でも、常時換気設備や換気扇などを作動させ、最低限ではありますが換気をしましょう。また、空気が乾燥するとインフルエンザにかかりやすくなります。室内の湿度を適度(50~60%程度)に保つために加湿器なども活用しましょう。
インフルエンザが流行を始める12月上旬くらいまでにインフルエンザワクチンを接種することも有効です。インフルエンザワクチンを接種しても感染しないというわけではありませんし、発病予防効果も有効率が60%程度で発病しないわけでもありません。インフルエンザワクチンの効果は、発病した後の重症化や死亡を抑制する効果を期待して接種するものです。特に抵抗力が弱く重症化しやすい小児や高齢者、基礎疾患を抱えている人はワクチンを接種することが望ましいとされています。
インフルエンザにかかってしまったら
ところが、十分に注意していてもかかってしまうのが感染症です。もしも、インフルエンザにかかってしまったら、できるだけ早く治療を開始することが重要です。また、他人に感染を広げないようにすることも大切です。
感染したら無理して学校へ登校したり、職場へ出勤しないようにしましょう。また、人混みや繁華街への外出は控えましょう。買い出しなどで、やむを得ず外出する際には、マスクの着用を忘れずに。鼻水や痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱へ捨て、手洗いもしましょう。
インフルエンザの症状として、高熱が続いたり、呼吸困難になることもあります。無理をして我慢をすることなく、早めに医療機関に受診しましょう。医師の指示に従い安静に休養し、きちんと服薬しましょう。また、脱水症状になりやすいので、十分に水分を補給しましょう。そして、十分に睡眠をとり早期に回復できるようにしましょう。
インフルエンザで役に立つ保険は?
現在はタミフルやリレンザといった有効なインフルエンザ治療薬が登場しているので、インフルエンザに感染し、発病したとしても重症化することは少なくなっています。ただ、重症化しないわけではありません。さらに、インフルエンザウイルスが変異し、治療薬が効かない薬剤耐性を獲得してしまうこともあるので注意が必要です。
医療保険に加入していれば、インフルエンザでも給付金が支払われることがあります。ただし、医療保険は入院や手術をすることが給付金支払い対象になるものがほとんどです。季節性インフルエンザに感染・発病しても、医療機関に通院し自宅で療養することが一般的ですが、重症化し入院治療を行うことになれば医療保険が助けてくれるでしょう。万が一、死亡した場合には、定期保険や終身保険などのような疾病による死亡保障がついた保険から通常通り死亡保険金が支払われます。
新型インフルエンザでパンデミックが発生した場合はどうなる
季節性インフルエンザは感染症法上「5類」に分類されています。5類の場合、検査や治療費について通常通り健康保険が使えるものの、公費による負担はありません。
ところが、新型インフルエンザによるパンデミックが発生した場合、新型インフルエンザ等対策特別措置法にもとづき、新型インフルエンザ等緊急事態宣言が実施される場合があります。感染拡大を抑制し、社会の混乱を避けるために、不要不急の外出の自粛や、遊技場・遊興施設等の使用制限等が要請されます。医療機関が不足した場合には、医療機関の代替として宿泊施設での療養や自宅療養を要請されることも考えられます。
新型インフルエンザにおいても入院治療をすれば医療保険の入院給付金の対象です。ただし、ホテル療養や自宅療養となった場合の扱いが問題です。医師の指示があった場合といった条件付きとなるでしょうが、給付金支払いの対象となるかどうかは保険業界の判断次第です。疾病による死亡保障がついた保険であれば、死亡時に死亡保険金が支払われます。
まん延した新型インフルエンザの感染症法上の取り扱われ方によっては、ケガによる死亡保障、医療保障においても保険金や給付金の取り扱いになる場合もあります。傷害保険などに加入している場合、あきらめずに保険会社に問い合わせしてみましょう。