このコラムは一般的な情報をご提供するものであり、当サイトの保険のご加入をお勧めするものではありません。
がん診断技術の進歩でがん保険は変わる
日本人の死亡理由の1位はがん。3人に1人はがんで亡くなっています。また、日本人の2人に1人は一生涯のうちにがんになっています。私たちにとって身近な病気、そして死につながる病気であるがん。がんに対するさまざまな保障をセットしたがん保険はわが国で人気の保険商品の一つです。
がんは「治る病気」に
がんになる人は年々右肩上がりに増えており、2018年にはがんと診断されたのは年98万例になりました(国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」)。がん患者の増加とともに、がんで死亡する人も増加傾向が続いています。
一方で、がん死亡者数をがん罹患数で割ってみると、1970年代には60%台後半の死亡率でした。このことからがんは死につながる病気というイメージがつきました。ところが、最近では、ほぼ40%程度まで下がっています。がんは「治る病気」になりつつあることが分かります。
<図表1>がん罹患者数とがん死亡者数の推移
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」 |
がんは早期発見早期治療が大切
がんが治る病気になりつつあるのは、がん治療技術が発達したことが要因の一つです。以前のような、身体を切開して臓器を切除する手術は少なくなりました。身体の負担が重く、回復にも時間のかかる手術です。最近は内視鏡や抗がん剤、放射線治療など、より負担の小さい治療法が主流となっています。
ただ、こうした最新の治療法が有効性を発揮するのは、早期発見できることが重要です。少々古いのですが2009年から2011年にかけて調査したデータを見てみましょう。限局→領域→遠隔転移となるにつれがんが広域に転移している状態を表しています。
がんが原発臓器に止まっている限局状態で発見できれば92.4%が5年たっても生存しています。一方、発見が遅れ隣接臓器やリンパ節に転移した領域状態で発見した場合は5年生存率が58.1%に、もっと遅れてがんが拡散した遠隔転移の状態であれば15.7%にまで下がってしまいます。このようにがんは早期発見さえできればほとんどの場合で治る病気になりました。一方で、発見が遅くなれば現在でも治りにくい深刻な病気であることは昔と変わりません。
<図表2>2009-2011年診断例の5年相対生存率
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」 |
- 限局:がんが原発臓器に限局しているもの
- 領域:原発臓器の所属リンパ節への転移や隣接する臓器に直接浸潤しているが、遠隔転移がないもの
- 遠隔転移:遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤があるもの
手軽にがんの診断ができる時代に
このように、がんが治る病気となるには早期発見はとても重要なので、がん診断も新しい技術が次々に開発されています。がん診断というとCTやMRIのようなものを使って大掛かりに診断するイメージがあります。ただ、こうした技術を使えば正確に診断できるかもしれませんが、費用もかかり気軽に受診できるものではありません。早期発見が広がるには、いかに手軽に診断できるかがカギとなります。
現在、国立がん研究センターを中心に、新しいがんの診断技術が研究されています。血液検査をすれば大腸がん、胃がん、肺がんなど13種類のがんをごく初期の段階から95%の制度で診断できる、という夢のような技術です。
こうした技術は企業でも研究が進んでおり、もう少し待てば完成するでしょう。現在でもPayPayモールのようなオンラインモールで手軽に診断できるがん診断キットが販売されています。診断するがんの種類によって「痰」「尿」「便」「血液」などを検体として採取し、検査機関に送ります。検査機関は検体を検査し、診断結果を送るという仕組みです。診断にかかる費用は数千円~数万円程度で安いとは言いにくいですが、とても手軽に利用できます。
こうした診断技術は何でも同じなのですが、がんでもないのに陽性と診断されたり、逆にがんなのに陰性と診断されるケースも出てしまいます。手軽に診断できる技術の中には、診断の精度が低いものも見られますので注意が必要です。気になるようであれば、医師に相談しながら利用するとよいでしょう。
治療技術や診断技術の発展でがん保険も変わる
こうした、がん治療技術の発展とともに変わってきたのががん保険です。がんでの入院日数がどんどん短期化することでがん入院保障のニーズが小さくなっています。抗がん剤治療や放射線治療が広がりがん手術が減ったことで、がん手術保障のニーズも小さくなりました。一方で通院治療が増えたことでがん通院保障へのニーズが高まりました。さらに、ホルモン治療など新しい治療法が登場するので、それらの治療への保障へのニーズが高まっています。
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とは言え、これからも新しいがんの治療法は次々に登場するでしょう。そのたびに新しい保障が出たからとがん保険を見直ししていたらキリがありません。こうしたトレンドを考えると、がん保険で重視したいのが「がん診断一時金」です。一般的ながんと診断されればまとまったお金が支払われるので、そのお金をどんな治療法に使っても問題ありません。非常に自由度の高い保障なのです。
ただ、このがん診断一時金は、新しい診断技術が登場しがんがドンドン見つかるようになれば多大な影響を受ける保障です。そのため、昔に比べ保険料がどんどん高くなっています。将来的には現在のような形のがん診断一時金は販売が終わる可能性も考えられます。
早期発見・早期治療が当たり前になりがんが治る病気となればがん保険そのものへのニーズが小さくなる可能性もあります。ただ、将来のことは誰にもわかりません。もしも、現在のような形でのがん診断一時金を確保しておきたいなら、今のうちに加入を検討する価値はありそうですね。

