ウインタースポーツに出かける前に忘れずに保険加入を

このコラムは一般的な情報をご提供するものであり、当サイトの保険のご加入をお勧めするものではありません。

ウインタースポーツに出かける前に忘れずに保険加入を

今年は例年よりも暖かい日が続き、日本海側でも積雪量が少ない地域も多いようです。一方で、山間部や北日本では例年以上の積雪量の場所も見られています。この季節はスキー、スノーボードといったウインタースポーツに出かける人も多いはず。数年前まではウインタースポーツに出かける人が減り、全国のスキー場の多くは苦しんでいました。ところが、ここ最近のインバウンド需要により、海外からの観光客で賑わっているスキー場も増えています。

スキー場に賑わいが戻るのはとてもいいことです。しかしながら、ゲレンデに人が増えれば、人が少ない時には起こらなかったような事故やトラブルが増えるものです。旅行に行く前に、こうしたリスクに備えたいものです。


派手に転倒しケガをしてしまったときには

もう30年近く前のこと、当時はスキーがブームになっていたので、私も仲間とともにスキーに出かけていました。ある時、調子よく滑っていたら、スキー板が突然外れ転倒してしまいました。いわゆる「自爆」と呼ばれる単独事故です。私は外れたスキー板の上に転倒してしまい、太ももがサックリと割れる深い裂傷を負ってしまいました。

当然ながら私は自力で下山ができません。そのため、一緒にスキーに行った仲間が救助隊を呼んでくれました。救助隊の皆さんは私をそりに乗せシートにくるんで山を下り、病院へ運び込んでくれました。あと数ミリで太ももの筋肉を断裂してしまうほどの大けがでした。病院で傷を縫合してもらい、旅行を切り上げ、松葉つえをつきながらそのまま帰宅しました。

こんな時に加入していればよかった保険は「傷害保険」です。ケガによって死亡・障害状態となったとき、ケガの治療のために入院したとき、ケガの治療のために通院したとき、などに保険金や給付金が支払われる保険です。私のケースでは入院はしませんでしたが、治療のために通院をしたので給付金がもらえたでしょう。

傷害保険に加入していれば、保険期間中に階段から落ちてケガをした、自転車で転んでケガをした、といった場合のように、ゲレンデ以外で負ったケガでも保険金や給付金を受けることができます。

他人と接触してケガをさせてしまったときには

私の事故は自分一人で起こした単独事故。相手がいなかったので、自分の治療費だけで済みました。でも、現在のように人の多くなったゲレンデで発生しやすいのは、他人との接触事故です。接触事故により自分が負ったケガに関しては傷害保険で補償を受けることができます。自分のケガは傷害保険から、と覚えると分かりやすいでしょう。

一方で、相手にケガをさせてしまったことに対する補償はどうしたらいいでしょうか。この場合は相手に与えてしまった損害に対する賠償責任を果たすための「個人賠償責任保険」が役に立ちます。

スキーやスノーボードの接触事故が発生すると、大けがをするどころか死亡するケースも見られます。自動車事故が発生したら相手側がケガや死亡するような重大事故が発生する可能性があることは当たり前です。ところが、スキーやスノーボードとなると、遊びやスポーツといったイメージが強いせいか、こうした重大事故になる意識は薄いものです。ひとたび相手が大けがをしたり、半身不随になるような障害状態になったりすれば、その責任に対する損害賠償額は数千万円に及ぶケースもあります。

個人賠償責任保険に加入する時に注意したいのは、保険料を安くしようと考え、保険金額を100万円とか、1000万円といった小さな金額にしないことです。重大な事故に備え、保険金額は1億円以上に設定しましょう。実は保険金額を1000万円から1億円に大きくしたところで、保険料は10倍にはなるわけではなく、保険料は大きく変わりません。

もう一つチェックしたいのは、個人賠償責任保険には示談交渉が付いている保険とついていない保険があります。選ぶなら示談交渉付の保険を選びましょう。

損害賠償が必要なトラブルは、通常は仲よく解決ということにはなりません。相手が物分りのいい人であるとは限りません。感情的になりやすいので、多くの場合で面倒なことになります。

また、接触事故は加害者だけに責任があるとなることは少ないものです。被害者が止まっている状態でぶつかったなら、加害者が一方的に悪いかもしれません。たとえば、被害者がターンをしているときに後ろからぶつかった、となると過失割合を検討する必要があります。こうなると、自分で解決するよりも示談交渉付の個人賠償責任保険に加入してプロに示談交渉してもらうべきです。

また、傷害保険と同じで、個人賠償責任保険は日常の賠償事故でも補償してくれます。犬を散歩していたら通行人を噛んだ、自転車で人を轢いてしまいケガをさせた、といったケースでも役に立ちます。

遭難して下山できなくなったときには

スキーやスノーボードを楽しむのは晴れた日だけではありません。雪が降っていることは当たり前。山の上に上っているときに吹雪になってしまい下山ができなくなる、といったことも想定されます。

また、本来指定されたコースで楽しむべきですが、時には本来のコースを外れて滑る人もいるようです。本来のコースを外れると雪崩に遭う危険も高まりますし、事故が起きても周囲に人がいなければ救助してもらえず、そのまま遭難ということもあり得ます。

こんな時には「救援費用保険」が役に立ってくれます。遭難した人の捜索、救助、および移送にかかった費用や、家族や親族が現地へ駆けつける費用なども補償してくれます。捜索・救助には多くの人が関わるので多額のお金がかかります。救援用の民間ヘリコプターが出動するとなれば、1時間で数十万円以上かかります。

その費用が全額請求されるとは限りませんが、請求されれば一般的には自分で負担するのは困難でしょう。救援費用保険の保険金額は300万円程度は加入しておきたいところです。

メリハリをつけて保険を選ぼう

スキーやスノーボードを楽しむなら、旅行へ行く前に保険加入をしておきましょう。ただ、ご紹介した3つの保険、それぞれ重要度が高いわけではありません。まんべんなく加入していると保険料が高くなります。自分のケガに対しては、保障が医療保険などと重なる可能性も高いものです。加入する際には特に個人賠償責任保険と救援費用保険を重視して加入しましょう。

事故の種類 保険種類 保険金額 重要度
自分のケガ 傷害保険 小さい金額でも可 入った方が安心
相手のケガ 個人賠償責任保険 1億円以上 加入すべき
遭難、救助 救援費用保険 300万円以上 加入すべき

その他、スキー板やスノーボードが破損した時などに備えて加入する「携行品損害保険」などがついている保険も多く見られますが、無理に加入する必要はなく余裕があれば加入するといったスタンスでいいでしょう。

加入はインターネットを活用しよう

こうした保険は内容にもよりますが、本人だけが加入するなら一般的に月額1000円以内で加入できます。こうした保険料の安い保険は、インターネットから気軽に加入するのがお勧めです。このコラムが掲載されているPayPayほけんを例に挙げると、加入する保険の種類や保険金額などを自分なりにカスタマイズしてメリハリをつけて加入することが可能です。

スキーやスノーボードは雪山で楽しむスポーツです。その雪山は本来大自然の中であり、恐ろしいものです。出かける前にはもしもの時に備えて保険に加入しておきましょう。

情報提供: 家計の見直し相談センター(外部サイト)

ライタープロフィール

藤川太

ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来30000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。 著書に『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』(プレジデント社)、『やっぱりサラリーマンは2度破産する』(朝日新書)などがある。

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