
このコラムは一般的な情報をご提供するものであり、当サイトの保険のご加入をお勧めするものではありません。
夏のアウトドアは山や海の事故に注意!ほけんで備えてレジャーを楽しむ
その日の最高気温が25℃を超えたら「夏日」、30℃を超えたら「真夏日」、そして35℃を超えたら「猛暑日」と呼ばれます。東京都心では6月25日から9日連続で最高気温が35℃を超え「猛暑日」を記録しました。これは観測史上最長記録なのだそうです。
今年は6月から暑いだけでなく、電力不足と電気代の高騰が追い打ちをかけています。先日の猛暑日にも電力の需給がひっ迫し節電要請が出ました。さらに、今年に入り電気代が高騰していることもあり、クーラーをつけずに我慢することを選んだ方もいるかもしれません。ただ、熱中症になるリスクを避けるため、我慢せずクーラーをつけて過ごすようにしましょう。これだけ暑いと街中を脱出して、少しでも涼しい海や山で過ごしたい、と考えたくなりますね。
海や川でのレジャーの水難事故に注意
例年7月になると各地の海水浴場が海開きします。ところが、今年は6月から暑い日が続いたせいか海開きの前から海で遊ぶ人が多く見られました。夏休みには、より多くの方が海や河川に出かけることでしょう。
水遊び、水泳、シュノーケリング、魚釣り、貝掘りなど、海や川でのレジャーは楽しいことばかりです。一方で、海や川では毎年多くの水難事故が発生しています。警察庁のデータによると、2021年に全国で発生した水難事故は1395件。ここ20年近く年間1500件前後で横ばい傾向が続いています。1975年には4500件近くの水難事故がありましたので、現在は3分の1の水準にまで減少しています。海水浴や河川で遊ぶ人が昔よりも大幅に減ったことが要因のようですが、1500件前後は十分に大きな数字です。
また、2021年における水難事故での死者・行方不明者は744人もいました。このうち中学生以下の子どもの死者・行方不明者は31人。ニュースでは子どもたちが亡くなった痛ましい事故のニュースを多くみかけますが、実は水難事故の犠牲者のほとんどは大人であることが分かります。
水難事故は毎年夏期(7月と8月)に集中する傾向があります。2021年も451件と、年間の約3分の1の水難事故がこの2カ月間に集中しています。また、この間の死者・行方不明者は212人と年間の約28%が集中しています。
水難事故と言えば、海や川。海での死者・行方不明者が366人(49.2%)、川が253人(34.0%)と海と川だけで実に83.2%を占めています。魚とり・釣り、水遊び、水泳中の事故が多く、まさに夏場のレジャーでの水難事故のリスクの高さを示しています。

警察庁「令和3年における水難の概況」より
山での山岳遭難事故は増加の一途
私は暑い夏は標高の高い山で過ごす派なのですが、毎年山での遭難事故も多数発生しています。2021年に発生した山での遭難件数は2635件と水難事故の約2倍の件数でした。水難事故は昔よりも減少していますが、山での遭難事故は増加傾向が続いています。30年前くらいまでは年間500件前後で推移していたので、昨今の登山ブームの盛り上がり具合がわかります。
一方で、2021年の死者・行方不明者は283人、水難事故の4割弱の人数でした。山での遭難の特徴としては、中高年の割合が高いことです。死者・行方不明者のうち40歳以上は263人と全体の92.9%、60歳以上で見ても203人と全体の71.7%を占めています。
山での遭難事故は冬場の寒い季節に多く発生しますが、レジャーに出かける機会が多い夏期も少なくはありません。2021年の夏期(7月、8月)の山での遭難事故は533件と年間の約20%、死者行方不明者は46人と年間の16%を占めます。夏の山も危険がいっぱいなのです。

警察庁「令和3年における山岳遭難の概況」より
基本は危険な場所に近づかないこと
海水浴場に行くと「危険」「遊泳禁止」といった立て看板が立っている場所があります。こうした場所は、流れが激しかったり、離岸流(沖方向への速い流れ)があったり、急に深くなるなど、危険がいっぱいです。川にも流れが速い場所や深みなど、危険な場所はたくさんあります。こうした場所は、人が少ないので行きたくなるかもしれませんが、絶対に近づかないようにしましょう。
また、ある時間には安全な場所でも、潮の満ち引きや天候の変化によって状況は大きく変わります。特に天候が悪くなった時には海に入らないようにしましょう。川では上流で大雨が降ると急に増水して逃げられなくなってしまうことも。子どもだけで遊ばせるのも危険です。必ず大人がついて遊ぶようにしましょう。
山でのレジャーは岩場や崖、斜面からの滑落、落石による事故など危険でいっぱいです。山での遭難事故は、不十分な装備で出かけてしまった、体力的に無理な計画を立ててしまった、天候の見込みが甘かった、といった原因で発生しています。
安全に山を楽しむためには、事前の準備をしっかりとして、無理ない計画を組むようにしましょう。
出かける前に保険をチェック
レジャーを楽しむための準備はまだあります。それは、万一に備えて保険に加入しておくことです。海、川、山でケガをすることはもちろん、最悪の場合、遭難してしまう可能性まで想定すべきです。こうしたリスクに対応できる「レジャー保険」という保険があります。「国内旅行保険」という名称でも販売されています。
これらの保険の基本はケガによる死亡、ケガによる入通院の保障です。これに個人賠償責任保険や携行品損害保険、救援者費用等保険などがセットされて販売されています。海、川、山でのレジャーに行くなら救援者費用等保険に注目しましょう。
救援者費用等保険は一般的には、旅行中の事故によるケガで14日以上入院した場合、現地に駆け付けた親族などの交通費や宿泊費などを補償する保険と説明されます。ところが、この保険にはもっと重要な内容が含まれています。
「救援対象者が乗っている航空機または船舶が行方不明になった場合や遭難した場合、救援対象者の生死が確認できない場合」または「捜索・救助活動を要する状態となったことが警察等の公的機関に確認された場合」に捜索・救助活動が行われます。その場合、ヘリコプターが出動したり、多くの人が捜索に参加するでしょう。その場合の費用は高額になりますが、捜索・救助活動に必要な費用だけでなく、かけつけた親族の交通費や宿泊費も支払い対象となります。ただし、支払われる保険金額は契約保険金額が上限となりますので、保険金額の設定には注意しましょう。
もう一点注意点があります。救援者費用等保険は、一般的にピッケル・アイゼンなどの登山用具を使用する山岳登山やロッククライミングなどは支払い対象外となっています。こうしたリスクの高い山のレジャーをする場合には、リスクの高さに応じた割増保険料を払い「特別危険担保特約」を付帯すれば支払い対象となります。この「特別危険担保特約」を付帯したレジャー保険は一般的に「山岳保険」という名称で販売されています。リスクの高い登山をするなら必ず「山岳保険」に加入してから入山するようにしましょう。
レジャーに出かけるのは久しぶりという方は、保険のことなど頭に浮かばないかもしれません。思い存分レジャーを楽しめるように準備には時間をかけ、保険に加入することも忘れないようにしましょう。