出発前に必ずチェック! 海外旅行保険の加入を忘れずに

このコラムは一般的な情報をご提供するものであり、当サイトの保険のご加入をお勧めするものではありません。

出発前に必ずチェック! 海外旅行保険の加入を忘れずに

長期の休みになると海外旅行に出かける人は多くなります。外国では日本の日常とは違うことばかりで、刺激の多い経験ができるでしょう。ただ、日本と違うということは、それだけトラブルが発生する可能性も高まります。日本国内であれば、警察や病院で適切な対応を期待できますが、海外では言葉も通じないことも多くなります。


海外旅行ではトラブルはいっぱい

私も海外で何度かトラブルに遭ったことがあります。以前、私が海外の空港で出発を待っているときに流れていたのは航空機到着遅延によるキャンセルにつていのアナウンスでした。慌ててカウンターに行き状況を説明してもらい、別の便に振り替えてもらうことができました。すぐに気が付いたので、スムーズに対応してくれてラッキーでした。海外旅行ではトラブルが発生しなくてもドキドキするものなのに、トラブルが頻繁に発生するので大変です。

治安の悪い国ではスリ、盗難といった事件や事故に遭うことも多くなります。盗難ではなくても、飛行機で預けた荷物が届かないトラブルもよく起こります。これらのトラブルに合わないよう気を付けることで確率を下げることはできますが、残念ながら完全に避けることはできません。

海外での治療費はけた違い

海外旅行でもっとも注意しなくてはならないのは、ケガや病気になることです。日本と同じ感覚で病院に行ってしまうと、あまりに高額な医療費が請求されて人生が変わってしまうかもしれません。

日本では、病気やケガになったら病院に行き健康保険証を出して治療を受けます。それほど高額な治療費になった経験が少ないのは、わが国の健康保険制度では医療費の自己負担が原則3割で済んでいるだけでなく、そもそも医療費の相場が諸外国に比べて安いのが原因です。治療費が日本よりずっと高額な国がたくさんあるのです。

東京海上日動火災の資料によると日本では30万円程度で済む盲腸の医療費でも、米国のニューヨークでは152.2~440.9万円はかかるそうです。なんと日本の5倍~14倍もの医療費です。その他、重篤な病気やケガになれば数百万円どころか数千万円レベルの請求があることも珍しくありません。米国は特別に医療費が高い傾向がありますが、それ以外の国々でも日本の数倍の医療費がかかることが多いことを覚えておきましょう。

海外の治療費に健康保険が使える⁉

実は海外の治療費に関しても、国内で加入している健康保険が使える可能性があります。「海外療養費」というありがたい制度があるのです。さすがに海外の病院の窓口で健康保険証を提示するわけではなく、現地での医療費はいったん全額自己負担で支払う必要があります。その上で、現地の病院で所定の診療内容明細書と領収内容明細書に記載してもらい、領収書の原本などとともに申請をし、審査の上で問題がなければ支払われる仕組みです。

ただし、支払われるには条件があります。まず、日本国内で保険診療として認められている診療にかかった医療費に限られます。美容整形やインプラントのような日本で保険診療の対象になっていないものは給付対象となりません。また、治療目的で海外に渡航した場合も対象外となります。

無事に審査を通り、給付されることになったとしての注意が必要です。支給金額は日本国内の病院等で同じ傷病を治療した場合にかかる医療費が基準となり計算されます。日本よりも海外の医療費が高いケースが多いことを考えると、医療費の自己負担が3割を超えるどころか、大半を自己負担することになる可能性が高いのです。

クレジットカード付帯保険は補償額に問題が

では、私たちはどのように海外での高額な医療費の支払いに備えたらよいのでしょうか。その答えは海外旅行に行く前に海外旅行保険に加入することです。

私たちが使うクレジットカードの多くに保険が付帯されています。クレジットカードによっては「海外旅行保険」が付帯されているケースがあります。特に年会費を支払う必要のある上級グレードのカードには付帯されている可能性が高いです。海外旅行保険が付帯されていれば、保険料を追加で払う必要がありません。ただし、海外旅行保険が有効になるには、旅行代金をクレジットカードで決済する必要があるカード(利用付帯)が大半ですので注意しましょう。

とは言え、このクレジットカードに付帯されている海外旅行保険の多くに問題があります。例えば「最高2000万円付帯」と言った形で書かれているケースが目立ちますが、海外で死亡・後遺障害になった場合の保険金額を示している可能性が高いです。私たちが最も必要としているのは病気やケガになった場合の高額な治療費用に対する備えです。内容を確かめてみると、多くの場合で治療費用が100万円、300万円と言う設定になっています。医療費の安い国に旅行するのであれば、これでも足りる可能性がありますが、特に医療費の高い先進諸国では足りないケースが多くなるでしょう。

インターネットで海外旅行保険に加入しよう

少なくとも健康保険の「海外療養費」制度が使えれば、無防備に海外旅行に行くわけではありません。ただ、海外で高額な医療費をいったん支払う必要があり、数百万円といった高額な医療費を自己負担するのは現実的ではありません。

たとえ、クレジットカードに付帯されている海外旅行保険が使えるとしても、別に海外旅行保険に加入することをお勧めします。海外旅行保険への加入は、インターネットで手軽に手続きできます。インターネット保険なので保険料も割安に設定されている傾向があります。出発前に手続きをしておきましょう。

保険料を払って自分で加入する海外旅行保険の多くは、補償内容を自分で設計することができます。「死亡・後遺障害」「傷害・疾病治療費用」「救援者費用」がメインの補償です。その他のオプションの補償は保険会社によって差がありますが「携行品損害」「賠償責任」「航空機遅延費用」「航空機寄託手荷物遅延等費用」などの補償をセットできます。海外旅行で遭いがちなトラブル全般に対応できそうなラインアップになっています。

<海外旅行保険の主な補償>

死亡・後遺障害 旅行中の病気での死亡、ケガでの死亡・後遺障害になった場合の補償
疾病・傷害治療費用 旅行中の病気やケガの治療のために必要となる治療費を補償
救援者費用 旅行中に病気やケガで所定日数以上の入院をし、家族が現地に駆け付けた場合の費用を補償
携行品損害 身の回りの持ち物が盗まれたり、壊れた場合の補償
賠償責任 他人にケガを負わせたり、他人のモノを壊すなどで、法律上の損害賠償責任を負った場合の補償

特に疾病傷害治療費用の補償額の設定には注意しましょう。高額な治療費が想定される国に行く場合には最低でも1000万円、できれば2000~3000万円の設定をしておきたいところです。保険料は「旅行先」「旅行期間」によって異なりますが、インターネット保険であれば条件を入力すれば自分で試算することができます。

家族で旅行に行く際には、家族でまとめて契約しましょう。「賠償責任」「携行品損害」「救援者費用」といった補償は、家族で共有できる補償なので、家族まとめて契約することで一人当たりの保険料を安くすることができるでしょう。

最近の海外旅行保険では「キャッシュレス診療」が広がっています。最大の問題は高額な治療費をいったん自己負担することでしたが、保険会社と提携している病院で治療を受ければ、治療費を自己負担することなく治療を受けることが可能になっています。海外旅行に行くなら必ず海外旅行保険に加入する。そして、もしものときには病院に行く前に、加入した保険会社のコールセンターに相談し適切な医療機関を紹介してもらいましょう。

情報提供: 家計の見直し相談センター(外部サイト)

ライタープロフィール

藤川太

ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来30000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。 著書に『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』(プレジデント社)、『やっぱりサラリーマンは2度破産する』(朝日新書)などがある。

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