PTAの保険には入るべき?

PTAの保険には入るべき?

子供たちの通う学校のPTAから保険の案内が配られました。その名も「児童・生徒補償制度」です。その名の通り「児童・生徒のために作られた補償」という触れ込みで、自転車事故を起こして他人にケガをさせてしまったり、ボールで遊んでいてケガをしたり、といった場面で補償してくれるようです。子供のことですから、ケガをすることはもちろん、他人に迷惑をかけることも心配です。この保険は入らないといけない気もしますが、皆さん加入しているものなのでしょうか。


PTAで配られても公的な保険ではない

PTAでパンフレットが配布されたり、説明を受けたりすれば「公的な保険」のようなイメージがあるかもしれません。そのため、学校の児童・生徒たちは全員加入しないといけない気がしますよね。ご相談のあった保険は正式には「こども総合保険」と呼ばれる民間の保険です。当然ながら加入するかどうかは任意であり、加入しないといけないわけではありません。

PTAで推奨される保険は、一般的に学校のPTAが所属する地域団体が団体契約者となって、損害保険会社によって組成された団体保険です。団体保険は団体ごとに補償内容がカスタマイズされて提供されます。そのため、さまざまな内容の保険があります。

PTAの保険の基本セットは、傷害保険+個人賠償責任保険+育英費用保険の3つの補償の組み合わせ。これらの基本セットに加え、児童・生徒がケガで死亡したときの保障、病気で入通院した時の保障などがセットされ手厚い補償内容となっていることが多いようです。

<PTAの保険(こども総合保険)の基本セット>

傷害保険 被保険者である児童・生徒が事故によってケガをし、治療のために入院、手術、通院した場合に補償されます。ケガによる死亡、後遺障害に対しても補償される保険もあります。
個人賠償責任保険 児童・生徒やそのご家族が誤って他人にケガをさせたり、他人の物をこわしてしまったりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償されます。
育英費用保険 親権者である扶養者がケガをして死亡または重度の高度障害状態になった場合に補償されます。

傷害保険はケガによる入通院などを補償

傷害保険は被保険者が事故によりケガをしたときに補償してくれます。対象となるのは学校でのケガだけではありません。普通に生活している中での事故や、レジャー中に発生した事故なども対象です。補償内容としては入院、通院、手術の補償を中心に、保険によっては死亡、後遺障害に対する補償もついている場合もあります。補償の組み合わせや保険金額の設定はさまざまなのでプラン表をよく確認しましょう。

個人賠償責任保険は他人に対する損害賠償責任を補償

誤って他人にケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまったことで、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償されます。児童や生徒の場合、他人にケガをさせたり、物を壊すことはありがちですし親としては心配ですよね。こうした場合に助けてくれる保険が個人賠償責任保険です。一般的に児童・生徒だけが対象ではなく、ご家族全員が保険の対象となります。

全国的に自転車保険への加入を義務化する動きが広がることでさらに注目度が高まっています。自転車事故で高額な賠償命令が出てしまうケースが続出しているからです。よく例として取り上げられますが、神戸で小学5年生の男の子が自転車で女性に衝突した事故では、母親に対し約9520万円の賠償命令が出ました(神戸地裁判決)。児童・生徒が起こした事故は、保護者である親に対し損害賠償命令がでることを覚えておきましょう。こうした自転車事故でも個人賠償責任保険が助けてくれますが、保険金の支払い限度額は1億円以上に設定されている保険を選ぶべきでしょう。

PTAの保険ですから、授業中や部活中に発生した事故も補償されると思うかもしれません。ただ、授業中や部活中のように学校の管理下で発生した事故の場合、児童や生徒には法律上の損害賠償責任が発生しないことが多いです。損害賠償責任が発生しないなら、個人賠償責任保険の補償対象とはなりませんので注意が必要です。

育英費用補償は扶養者の死亡補償

児童・生徒の親権者である扶養者が事故でケガをして、死亡または重度の後遺障害状態となった場合に補償されます。親が子どもを扶養できない状態となった場合に、育英費用を支払ってくれるという保険です。育英費用という名前ではありますが、ケガによる死亡(重度障害)補償です。事故の日から180日以内に死亡、重度障害状態となった場合が補償対象です。また、病気による死亡は対象になりません。

団体保険なので保険料が割引されているが…

PTAの保険は団体保険ですから、普通に同じような内容の保険に入るよりは安い保険料で加入することができます。団体保険は一般の保険よりも保険料が割引されているからです。割引率は団体によりますが、中には半額近くという割引率が提示されている保険もあります。

ただし、保険料が安いと言っても「同じような内容の保険に入るよりは」です。PTAの保険は基本セットだけでなく、さまざまな補償が盛り沢山にセットされているケースが多く見られます。それぞれが本当に必要な保障であればいいのですが、必要と思えない補償、高額すぎる保険金額の補償は保険料が安くてもムダです。

人によっては基本セットの3つの補償だけ見てもムダと思える補償はあるでしょう。たとえば、自治体によって就学前、小学校卒業まで、中学校卒業まで、と対象となる期間は違っても、子供たちの医療費が無料になっていないでしょうか(所得制限がある場合もあり)。傷害保険の入院、通院、手術の補償は必要ないと考える人は多いでしょう。また、親の死亡保障も他で確保しているのであれば、ケガでの死亡・後遺障害だけ補償される育英費用保険も必要ないと感じるでしょう。

また、自転車などで重大事故を起こそうものなら、損害賠償責任で人生が変わってしまうかもしれません。個人賠償責任保険はできるだけ確保しておきたい保険ですが、すでに加入しているかもしれません。家族全員が補償対象となる保険なので、火災保険や自動車保険などの特約を確認し、すでに十分に加入しているのであればムダになるかもしれません。

個人賠償責任保険に加入したいなら

もしも基本セットすべてがムダと考えるなら加入しない方がいいでしょう。ただ、個人賠償責任保険は他の保険と違い、まだまだ加入率は高くない保険です。もしも、加入していないなら、個人賠償責任保険だけでも加入を検討しましょう。

一般的に個人賠償責任保険は単独で加入することができません。通常は傷害保険などを主契約とし特約として加入します。無駄なく加入するためにはできるだけ主契約を小さな補償にすることがコツになります。

こうしたときに便利なのがインターネット経由での加入です。このコラムが掲載されているYahoo!保険では傷害保険を主契約に個人賠償責任保険を特約としてセットした場合の保険料は月190円~。本当に必要な保険だけを選択して加入することができるなら、PTA保険のような団体保険より結果的に安い保険料で加入することができます。保険に加入する目的を確認したら、インターネットも活用して上手に保険選びをしましょう。

情報提供: 家計の見直し相談センター(外部サイト)

ライタープロフィール

藤川太

ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来30000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。 著書に『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』(プレジデント社)、『やっぱりサラリーマンは2度破産する』(朝日新書)などがある。

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