生命保険料の支払いに困ったら

このコラムは一般的な情報をご提供するものであり、当サイトの保険のご加入をお勧めするものではありません。

生命保険料の支払いに困ったら

収入減少や失業といったニュースが多くなりました。子供の教育費負担の重い年代を中心に、月々の生活のやりくりにも困っている人も多いようです。もしも生命保険料の支払いに困ったら、どうしたらいいのでしょうか。


生命保険料の支払い猶予の仕組み

保険料の支払いは多くの場合で銀行口座からの引き落としかクレジットカード払いになっているはず。銀行口座の残高が不足していたり、クレジットカードが止まっていたら、保険料の支払いができません。特に年払いや半年払いになっていると、まとまった金額の支払いになるのでピンチに陥りやすいでしょう。

ただ、支払いができなくても即座に契約が無効になるわけではありません。保険料の支払い猶予の仕組みがあるからです。おおむね1カ月程度は支払いを待ってくれるのです。

月払い 支払月の翌月末まで
年払い・半年払い 支払月の翌々月の契約応当日まで

月払いの保険料はその月に支払えなくても翌月末まで待ってくれます。ただし、支払いを待ってくれるだけなので、翌月分も含め2か月分の保険料を支払うことになります。

年払いや半年払いの保険料は翌々月の契約応答日まで待ってくれます。翌々月の契約応当日とは、もしも契約日が6月15日(支払月も6月)であれば、翌々月である8月15日のことを言います。

猶予期間内に支払えなかったら

もしも、猶予期間内にも支払いができなかったら、①契約が失効する、もしくは②自動振替貸付され保険料が立て替えられれば保険が継続します。

契約が失効してしまうと、保険料を払う必要はなくなりますが、文字通り保険としての効力が失われます。つまり、本来であれば保険金や給付金が出るような死亡や入院などの保険事故が発生しても何も受け取ることができなくなります。

失効してしまうと困るかもしれません。ただ、失効は解約ではないので、一定期間内(2年や3年といった期間で保険会社によって異なります)であれば保険を「復活」させることもできます。復活させる際には、あらためて健康状態を確認するための告知・診査や、失効期間中の未払い保険料の支払いが必要になるので、失効期間が長くなるほど復活は難しくなります。保険会社によっては未払い保険料に対する利息も必要となります。

また、自動振替貸付が行われ、保険料の立て替え払いがされる契約も多くあります。自動振替貸付が行われれば失効せず、解約返戻金を担保に貸付され保険料に充当される仕組み。借りたお金には利息もつきますし、いずれ返済するべきでしょう。また、最近増加している無解約返戻金型の保険商品では自動振替貸付はできませんので、失効することになります。解約返戻金がある保険でも、中には自動振替貸付がされるように契約していないケースもあるので注意が必要です。

<保険会社のコロナ特別対応を活用しよう>

現在はコロナウイルス感染症の拡大に伴う異常な状態でもあり、生命保険協会も特別対応を打ち出しています。保険会社によって期間は異なるものの、最長で2020年9月末まで保険料の支払いを猶予してくれることになります。2020年6月10日には追加措置が発表され、さらに支払い猶予を延長する保険会社も出てきました。もしも、やりくりが厳しくて保険料の支払いが難しいなら利用してみましょう。

ただ、この特別対応を利用するには契約者からの申し出が必要です。何もしなくても利用できるものではありません。また、保険料の支払いを待ってもらえるだけで、免除されるわけではありません。あとで払うことになるので注意しましょう。

長期的にやりくりが難しいと思うなら

今はやりくりが厳しくても、いずれ家計が改善するのであれば、保険料の支払い猶予を利用したり、自動振替貸付で保険料を立て替え払いすることで何とか契約を維持しましょう。もしも、厳しい状況が長期化すると判断するのであれば、状況に応じて下記のような対応を検討するべきでしょう。

(1)年払いを月払いに変更

年払いでまとめて払うのが厳しいということであれば、月払いへ変更し小分けに支払うのも手です。手続きできる期間は保険会社によって異なりますが、契約日の1~2か月前しか手続きできない会社もあります。契約している保険会社に問い合わせしてみましょう。

(2)払い済み保険や延長保険へ変更

保険料の払い込みを止め、現在の契約の解約返戻金を元手に保障を継続する手法です。保険期間はそのままに、保険金額を小さくして継続する方法を「払い済み保険」と言います。払い済み保険に変更しても、契約時の予定利率は維持されますので、昔加入した予定利率の高い保険を活かす方法としてよく利用されています。

また、保険金額はそのままに、保険期間を短くして継続する方法は「延長保険」と言います。いずれにしても、保険金額が小さくなったり、保険期間が短くなるので、保障が不足する可能性もあるので、手続きをする前に確認しておきましょう。

(3)現在の保険をリフォーム

現在加入している保険に無駄があるのであれば、保険金額を減額したり、必要のない特約を解約することで、必要な保障は維持しつつ無駄を省き保険料負担を下げる方法です。ただし、必要な保障まで削ってしまわないよう、専門家に相談しながら進めたいところです。

(4)他の保険会社の保険に見直し

同じような保障商品でも、保険会社によって保険料の水準が大きく違うことがあります。定期保険のような掛け捨ての保険だと、倍半分も保険料が違うこともあります。現在加入している保険会社だけでなく、複数の保険会社から見積りを取り比較検討してみましょう。より低いコストで必要な保障を確保できるよう見直ししてみましょう。

家計のやりくりに行き詰まってしまった時には、一時的にしのげばいいのか、長期的な問題になりそうなのか考えてみましょう。冷静に判断して、できるだけ早く行動することが大切です。保険料猶予は基本的に目の前の困難をしのぐだけの方法です。根本的な問題解決のためには、無駄のない生命保険に見直しすることが基本です。面倒と思わずに、家計を救うために行動しましょう。

情報提供: 家計の見直し相談センター(外部サイト)

ライタープロフィール

藤川太

ファイナンシャルプランナー。山口県出身。慶応義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社で燃料電池自動車の研究開発に従事していたが、ファイナンシャルプランナーに転身し、「家計の見直し相談センター」で生命保険の見直しを中心とした個人向け相談サービスを展開している。同センターは2001年の設立以来30000世帯を超える相談を受けてきた。「分かりやすい、納得できる、利用しやすい」サービスを目指して活動中。 著書に『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』(プレジデント社)、『やっぱりサラリーマンは2度破産する』(朝日新書)などがある。

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